みなさん、こんにちは
柔道整復師が開業しても良いとされている接骨院(整骨院)では、どのような疾患に対して保険適用されるの?という声をよく耳にします。
今日はどのような場合に保険適用になるのかを、法律や公文書などを確認しながら詳しく説明していきたいと思います。
目次
柔道整復師が行えることとは?
柔道整復師が行えないこととは?
健康保険(療養費)の対象となる疾患とは?
健康保険(療養費)の対象となるアプローチとは?
まとめ
柔道整復師が行えること
● 柔道整復 または 柔道整復術
日本古来の武術のひとつである「柔術」には、相手を殺傷する「殺法」と傷ついたひとを蘇生・治療する「活法」があります。殺法と活法は、発展変遷をとげ、現在「殺法」の技は競技柔道に継承され、活法は負傷者に施す治療法として「ほねつぎ」「接骨」として伝承され、「柔道整復術」となっています。
柔道整復術は、日本古来の武道から派生した日本独自の民族医学です。柔術における活法(傷ついた者への手当)の技術に、近代西洋医学の科学的な知識が取り入れられ、発展しました。骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷(肉ばなれ)に対し、手術や投薬ではなく独特の手技によって整復・固定・後療などを行います。
引用:公益社団法人 全国柔道整復学校協会「柔道整復師の世界」
柔道整復師が行えないこと
● 外科的処置
● 薬品投与
● 応急手当の処置を除く、医師の同意を得ていない骨折や脱臼に対する処置
(外科手術、薬品投与等の禁止)第十六条 柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。(施術の制限)第十七条 柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼 又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。
健康保険(療養費)の対象となる疾患とは?
● 骨折
● 脱臼
● 打撲
● 捻挫
● 挫傷
療養費の支給対象となる負傷は、外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第5の3の(5)により算定して差し支えないこと。また、外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること。
引用:柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項(最終改正 平成30 年5月24日 保医発 0524第1号)
健康保険(療養費)の対象となるアプローチは?
● 整復 ※ 骨折部位や脱臼した関節部のズレを正常な状態に戻す行為
● 固定 ※ 整復された状態を維持できるように固める行為
● 施療 ※ 打撲や捻挫に対して初検時に行なう回復促進目的の行為
● 後療 ※ 患部の回復促進目的に行なう行為
● 初検時相談支援
引用:「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」の一部改正について(令和元年9月18日 保発0918第5号)
まとめ
〇 法律や行政文書では、柔道整復(術)という行為が具体的にどのような行為を指すか示されていない。
〇 公益団体の解釈では、日本古来より傷ついた人に対して行っていた活法が現在の柔道整復術になったとしている。
◎ 行政文書で、柔道整復術の保険適応範囲は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷に対する整復・固定・施療・後療・初検時相談支援としている。
このようなことから、以下のようなことが言えます。
整骨院では、骨や関節、筋肉や腱、靱帯に何らかの外力が加わって発生したケガに対して保険が適用されるということです。
また、保険適用にはならないが慢性化した身体組織の損傷へのアプローチはしてもらえるということが言えます。
- 参考:公益社団法人日本柔道整復師会「柔道整復師Q&A」
- 参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」
- 参考:全国健康保険協会「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方 」
- 参考:全国建設工事業国民健康保険組合「知っていますか? 「接骨院・整骨院」の正しいかかり方」
- 参考:岡山市「柔道整復師の施術を受けるときの注意」
ちなみにですが、本校美作市スポーツ医療看護専門学校にも附属整骨院がありますので、痛みでお困りの方は一度ご相談ください。
附属整骨院のページ ⇒ https://www.msmn.ac.jp/gakko/clinic
最後に、全国すべての整骨院や接骨院で保険適用の施術が受けられるかというとそうではありませんのでご注意下さい。